始めに
こんにちは。今回は初めて読んだ作家さんの作品を紹介します。
ある日、ふとインスタグラムを見ていて目に留まった、可愛らしい表紙。
ぱっと見た瞬間、優しいぬくもりを感じるような雰囲気に惹かれて購入しました。
畑野智美さんの『ヨルのヒカリ』(中央公論新社)です。
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突然ですが、みなさんは「大切な絆で結ばれていると感じるような、かけがえのない人はいますか?」
もしそう問われたら、誰のことを思い浮かべますか?
「そんなこと突然聞かれてもなぁ…」
『今すぐにパッと思い浮かばないなぁ…』
そんな風に思ったでしょうか?それとも、すぐに思い浮かびましたか?
私はどちらでも間違っていないと思います。「大切な絆で結ばれている」というのは、その人によってどういうことか、感じ方もきっと違いますよね。
まだそれがどういうことなのかわからない人も、きっといますよね。
本作はそんな、「大切な絆」に気が付いたり、築いたりして共に生きていく、本当のつながりを実感できる内容となっています。
『ヨルのヒカリ』にみる、本当の人間関係
登場人物の木綿子とひかり。
物語の中で、こんなにもお互いを大切に思いあえる、二人の関係性が滲み出ていて、とにかく素敵です。
特に、気持ちを強く引き付けられたのは、この物語の核となるといっても過言ではない、
司さんの言葉。
「うんざりするようなことを言ってくる人もいるかもしれない。でも、胸をっ張っていれば、何も気にせず付き合ってくれる人が周りに増えていく。そのうち、自分のいるところが真ん中になる」
夫婦や恋人、家族。中身はどうあれ言語化すればだれもが理解できる関係。
しかし、どんなに名前のある関係も、そこに属する人たちが納得し、思いやりや幸せに満ちていなければ、とても悲しいことのように思います。
一方で、木綿子とひかりのような名もなき、周囲の理解を得づらい関係。
そんな関係でも、二人のゆるぎない思いの元、感じることのできる幸せがあります。
世の中には、人の数だけ価値観があり、いろんな関係性が存在します。当然、自分が納得していることが、出会うすべての人も納得するとは限りません。
そういうときに、無理にすべての人にわかってもらおう、自分も理解しようと思わなくてもいい。
「私は私。あなたはあなた」ただそう思うだけでもいい。自分を大切に生きていれば、いつか必ず同じように自分を大切にしてくれる人に出会える。
そう、思わせてくれた作品です。
色んな生き方を抱え、悩み、他者とぶつかることが多い世の中にとって、とても深いメッセージが込められています。
そうは言っても、なかなか簡単にはいきませんよね。私自身、自分とは違う人やことに出会った時、
「え、違くない?」とすぐに思ってしまう自分がいます。
でも、本作に出会って、まずはその気持ちを引っ込めて、「なぜそう思うのか」話を聞いてみようと冷静に思えるようにもなりました。
まとめ
いかがでしたか?誰にだって、一生懸命生きている中で、譲れないことの一つや二つありますよね。自分と違う相手や事に腹が立って、傷つけたり、傷つけられたりすることも多い世の中です。そんな時、木綿子とひかりのように、「私は私。あなたはあなた」と思えたら。少しはこの世界も、穏やかになれるのではないかと私は信じています。
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